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シャツの変遷


 「シャツ」フランス語で言う「シュミーズ」は、本来は下着であった物である。
これはいつごろ登場したのであろうか?起源として9〜10世紀に掛けて、リネン(麻)の下着をバイキングや修道士が身に着けていたことが記録に残っている。


〈13世紀〉


 服装の歴史において、内側に着る内衣とその上に着る外衣の区別がされるようになったのは、中世13世紀のゴシック初期の頃である。
 それはペストなど伝染病の流行による衛生感覚の急速な向上、そして身体を不浄のものとするキリスト教的な身体感覚によって登場する。この時代男女とも、内衣であるリネンのシュミーズの上に外衣のコットンを着た。またこの時代は西欧衣服における男女差が見られるようになった時代であり、内衣のシュミーズは女性よりも男性の着丈の方が短かった。


〈14世紀〜16世紀〉


 14世紀にはいると、衣服の男女差が明確になり男性モードは衣服のプールポワンと脚衣のショース(今で言うジャケットとパンツ)という2部形式になる。プールポワンの下に着るシュミーズは、ジャケットのシャツを着るという現在の感覚に近い物となる。プールポワンに切れ込みを入れるスラッシュの流行は、下に着るシュミーズを表面に覗かせた。 
 男性モードにおけるプールポワンとシュミーズも構成は、近世17世紀の半ばまで続く。


〈17世紀〉

 〈前半〉
 プールポワンのデザインが目立って小さくなり、それまでは表面に出て来なかったシュミーズが、プールポワンの隙間から覗くようになる。この時代のシュミーズは上質のローンや薄手リネンで仕立てられ、たっぷりとした量感を持ち、袖口にもフリルが付けられ、ウエストでたっぷりブラウジング(blousing  ブラウスをスカートの中にたくし込んで着た時に出来る様な膨らみを、わざとウエストラインの上に作った物。フランス語で、ブルザン blousant )させて着た。


〈後期〉
 現代の紳士服の構成と同じジャケット・コート・ベスト、パンツからなる3つ揃えのスタイル「ジュストコール・スタイル」が完成する。上衣のジュストコール、パンツには膝までのキュロット、ベストの下にはフリルやレースなどの装飾が付いたシュミーズを着る。衿元にはクラバット(cravat 仏語で、ネクタイの意味)を結ぶという、現在のシャツとネクタイの関係が完成する。


〈18世紀〉


 18世紀に入ると、男性モードも女性モードと同じく華やかで豪華になる。
 アビ・ア・ラ・フランセーズはシルクブロケード(絹を使い、花模様や葉模様、波などの優しく上品な織柄を浮き立たせたり、色のコントラストを付けたり、金銀ラメを入れて織るなどした豪華な布地)やベルベットで仕立て、またその下に着るシュミーズの前面はフリルやジャボ(レースその他の薄手の布地を使い、フリルやギャザーで形作った胸飾り。ジャボという語は、本来、鳥のえさ袋の意味で、形が似ている事から付けられた)で飾った。

 しかし18世紀後半になると、イギリスから伝わったフロックやルダンゴト(体にフィットし胴を絞った形)が、アビ・ア・ラ・フランセーズの代わりに着られるようになる。ピーコック的(孔雀の首や胸の辺りの羽毛に見られる様な華やかな形)な男性モードは、ダンディズム的なものへ移り変わり、紳士服における影響力は、フランスからイギリスへと移っていく。


〈19世紀〜20世紀〉

 〈前半〉
 ヨーロッパはイギリス産業革命とフランス革命を経て19世紀にはいる。
 紳士服の主導は18世紀後半から形成されたロンドンの「サビル・ロウ」へと移る。上衣にはテールコート〈燕尾服のこと。スワローテールド・コートの略)を着て、その下にベスト、そしてパンツの丈が延長されたトラウザース(ズボンの事)という構成になる。近代以降には、身なりや服装だけだなく、物腰や言葉遣いなどに細かい注意を払う男性「ダンディ」が登場し、その象徴的な存在がボーフランメルであった。彼にはいくつもの服装に対するこだわりが逸話として残されているが、シャツに於いては、毎朝の入浴の後には必ずシャツを着替える。そして脱いだ後のシャツは、水や空気の綺麗なカントリーで洗濯女に、数枚のシャツを3時間余りも掛けて洗わせていたと言われている

 19世紀前半のシャツのデザインの多くは、デタッチャブル(取り外し式)のウィングカラーで、そこにクラバット(ネクタイ)を巻く。カフスはダブルカフスで、デタッチャブルのものもある。胸元は細かいタックが入り、前開きは全開ではなく途中までスタッドで止めるようになってい手、プルオーバー式で着た。
 また別仕立てでタックなどが入った胸飾りのディッキー(衿と前身頃だけで作られたもので後ろ身頃はない)をつける事もあった。素材においてジェントルマンはあくまでもリネンにこだわったが、産業革命後はコットンが急速に広まっていった。


 〈後半〉
 19世紀になると、衿は折り返されダブルカラーになり、衿腰の高いハイカラーが主流になる。そこに1860年代から登場した結ぶ下げのネクタイのフォア・イン・ハンド(four-in-hand  現在のした端の剣先が90度の、最も一般的なネクタイ。フォアインハンドとは、「4頭をを一手にする人」という意味で昔4頭立ての馬車の御者が、手綱をさばき易いように、蝶タイの代わりにこのネクタイを結んだという事から、付けられた名称)を結ぶ。衿、カフスそして裾のスリットが丸くカットされ、前開きは全開になりプルオーバーではなくなる。 

 現在でいうワイシャツ(ホワイトシャツが語源)の原型は、第二次世界大戦後アメリカを主導に誕生する。衿、カフス共に縫い付けるのが常識になり、1960年代以降ベストが省略される事が多くなり、胸にポケットが付けられるといった現在のデザインとなる。


参考文献
「実用服飾用語辞典」
「文化ファッション体系 
       服飾造形講座」
文化出版局

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